交通事故の主なものは、 自動車同士の衝突事故、自動車と歩行者又は自転車等との衝突事故です。
交通事故によって生じた損害について、誰にどのような損害賠償を求めるかが問題となります。
事故発生から解決までの大きな流れは以下のとおりです。
交通事故発生後は、怪我の程度によりますが、基本的に治療に専念することになります。治療の結果、完治するかもしれませんし、残念ながら後遺症が残るかもしれません。後遺症が残る場合には症状固定と診察されます。
怪我が完治した場合には、加害者と示談交渉に入ります。加害者が任意保険に加入している場合には、加害者の保険会社との交渉になります。
一方で、後遺症が残った場合には、主治医に後遺障害診断書を記載してもらい、どの程度の後遺障害かの等級認定の手続に移ります。
等級が認定された場合、その内容に納得すれば、示談交渉に入ります。等級の認定に不服があれば、異議申立てという方法もあります。
示談交渉が決裂した場合には、訴訟提起を検討することになります。
<治療期間について>
治療期間について、相手方保険会社から今月で治療は終了してください、と伝えらえることがあります。とくに頸椎捻挫などのいわゆるむちうち症の場合には、事故態様にもよりますが、早ければ1か月、通常は3か月で終了と告げられることが多いようです。
しかし、主治医が治療継続の必要があると判断する場合には、そのことを理由に治療期間の延長について、加害者の保険会社と交渉することが可能です。
また、怪我をしたことに対する慰謝料は、基本的には入通院期間や日数によって決まります。痛みがあるのであれば、無理をせずに通院することが大切です。
<後遺障害診断書について>
治療を相当期間継続しても、痛みが残り、主治医からこれ以上治療を継続しても良くならないと判断される場合が、症状固定です。
その場合、後遺障害診断書を記載してもらい、等級認定の手続に入ります。等級は1級から14級まであり、どの等級が認定されるかによって、損害賠償額も変わります。
後遺障害診断書は主治医に記載してもらいますが、自分の痛みや症状など、漏れなく、また医学的根拠も含めて、詳細に記載してもらう必要があります。
<示談交渉>
保険会社との示談交渉は、主に、休業損害や怪我をしたことに対する慰謝料が問題となります。後遺症がある場合には、それらのほかに、後遺症に対する慰謝料や後遺症による逸失利益(後遺症を理由とする将来の減収分)が問題となるほか、事故態様によっては過失相殺の率が問題とります。
それぞれの損害の金額や過失相殺の率について合意に至れば、示談成立となり、通常は2週間程度で、保険会社から送金されます。
一方で、金額等について合意に至らなければ、訴訟提起を検討することになります。
保険会社は、自賠責保険からの求償を前提としているので、被害者への提示額はそれを踏まえたものになります。他方で、弁護士が交渉する場合には、裁判実務を踏まえた金額を前提に交渉します。言わずもがな、自賠責保険の金額よりも裁判実務の方が賠償額は高額となります。
したがって、人身事故の場合には、弁護士を依頼した方が多くの損害賠償を得られる可能性があります。。
<弁護士費用特約>
弁護士を依頼する場合、弁護士費用が問題となります。
まずは、ご自身の任意保険の保険をご確認ください。弁護士費用特約はついていますか。
この特約があれば、弁護士費用は自身の保険会社の負担で、弁護士に加害者の任意保険会社との交渉や訴訟を依頼することができます。
通常は、損害賠償金から弁護士費用を支払った残額が手取りとなるのですが、弁護士費用特約があれば、損害賠償額のすべてを直接受け取ることが可能です。
弁護士費用特約がないようなら、次回の事故に備え、早めに加入することをお勧めします。
法律相談の時に持参するとよい資料
法律相談にいらっしゃる場合、もし以下の書類があればご持参ください。
弁護士がもっと正確に事故の態様を把握することにより、法律相談を効率的に行うことができます。
- 事故の態様がよく分かる資料
- 交通事故証明書
- 事故の概略図
- 事故発生状況報告書
- 実況見分調書
- 事故現場の写真及び関係車両の写真
- 負傷の程度が分かる資料
- 診断書
- 後遺障害診断書
- 施術証明書
- 損害が分かる資料
- 治療費の請求書
- 診療報酬明細書
- 休業証明書
- 源泉徴収票(給与所得者の場合)
- 確定申告書(事業者の場合)
- 修理代の見積書
- 領収書
- 交渉経過が分かる資料
- 相手方の保険会社から送られてきた資料(損害計算書、通知等)
- 調停、裁判等が行われている場合は、その関係資料
- 交渉経過を時系列で書いたメモ等